こんにちは!エイドリアンです。今回はいつものスピンオフバージョンをトリビア的にご紹介します。WordPressはどうしてエディタのバージョン 5 に「グーテンベルク」と名付けたのでしょうか?
衝撃を広げたWordPress 5.0 が実装
2018年にWordPress 5.0 が実装された時のことを覚えていますか?WordPressユーザーの間に衝撃が走った出来事でしたが、特に海外コーダーの間では今後どうしていくのが正解なのか、けんか腰になるくらい議論が交わされていました。
以前のバージョン 4 とあまりに異なるため、当時は3つの派閥が結成。
- 「セキュリティのためにもアップデートして 5 を使うべき」
というWordPressに付いていく派の人 - 「5 は使いにくい。アップデートはするけど 4 の使用感をプラグインで実現しよう」
という二歩進んで一歩下がる派の人 - 「独自に進化させて 4 を使い続けよう」
というWordPressとは離れていく見切り派の人
ちなみに4年経った2022年の今は、国内も海外もバージョン 5 派が主流になっているように感じます。国内での依頼でも 2. のような「アップデートはしつつ、プラグインで 4 として使用したい」というようなプラグイン(クラシックエディタ)を入れて欲しいという依頼はかなり減ってきました。
新エディタ「グーテンベルクエディタ」
WordPress 5.0 の実装に伴い、新しいエディタとして取り入れられたのが「グーテンベルク(Gutenberg)」エディタです。どのようなエディタなのかは少し横に置いておいて、この記事ではこのエディタの名称や機能から、WordPressが目指す未来や目標を読み取ってみたいと思います。
グーテンベルクは印刷技術に革新をもたらした偉人の名前
ヨハネス・グーテンベルクという偉人を知っていますか?印刷業に携わる方やアート専攻だった方は大学などで学んだことがあるかもしれません。グーテンベルクは、中世ヨーロッパで「活版印刷」の技術を考案・実用化し、その技術をもって西欧文明の行く先、そして世界の未来を運命付けた人です。
活版印刷とは、文字や記号などのパーツを用いて文字を印刷する印刷技術です。グーテンベルクはこの技術を革新的なものにすることで大量印刷を叶え、ヨーロッパの印刷業界に変革を起こしました。
- 大量印刷による一般大衆への本の普及
- 印刷への油性インクの使用
- 調整や入れ替えができる印刷用の型
- 木製の印刷用機械の開発
グーテンベルクの一番の功績は、市民にとって手頃な価格で本を大量に製作・販売できるようになったことです。これによってヨーロッパでは、一般市民が情報や教育を受けられるようになりました。
WordPressの信念は「誰でも自由にウェブにアクセスできること」
WordPressはリリース以来、実は偉人ヨハネス・グーテンベルクの印刷技術革新と同じ精神を受け継いできています。WordPressの叶えたいこと、それはグーテンベルグが本を流通させることで情報を社会に広めたように、ブロガーなど情報発信をする人が情報発信ツール(WordPress)を簡単に自由に利用できることを叶えることで、インターネットを通した情報の流れを最大化することです。
この精神はWordPressの提供するGNUパブリックライセンス、つまり「オープンソース」ライセンスからも読み取ることが出来ます。GNUライセンスは誰でも無料でWordPressをダウンロードすることができ、使用できることを許可するものです。また、コーダーなど開発者にも以下のことが許可されています。
- WordPressの機能拡張
- WordPressのデザインと機能のカスタマイズ
- WordPressコードの自由な配布
- WordPressコードのコピーや変更
- 修正バージョンの配布(利益を得るのもOK)
- 修正を加えずにそのまま販売OK
もちろん、WordPressという名称やロゴ、その他ブランドに関する著作権があるものはこの限りではないため注意が必要です。自身の知的財産として扱うことは出来ませんが、それ以外のことは割と自由に行うことが可能です。WordPressの登場によってウェブ制作がより簡単になり、ブロガーが増えることにも繋がったと思います。
今後、WordPressはどこへ向かっているのか
以前と比べて、「グーテンベルク」エディタでは、ページ作成や投稿作成ツールをより直感的に操作できるように改善されました。これによりWordPressの「自由に情報発信できることや、誰でも情報を取得できることを最大化する」という精神がより叶えられやすくなっていると感じています。
WordPressを初めて使う方でもより直感的にコンテンツを配置できたり、レイアウト調整もより簡単になりました。コードを「コピー&貼り付け」しなくてもYouTube埋め込みが行えるなど、欲しいエレメントを簡単に見つけて使用することも出来ます。グーテンベルクエディタからは、コンテンツを新しい感覚で編集することが可能になりました。
今後もWordPressはグーテンベルクの精神を受け継いていくと思います。誰でも自由に情報発信を行えるようにエディタの改善を重ねて、本格的なサイトカスタマイズも行えるエディタへと進化していくのではと偉人グーテンベルグのことを読みながら考えています。